15年目のリニューアル。想いをカタチにしたトリミングサロンの看板づくり|横浜
横浜の住宅街の一角に、15年間、地元の人たちに愛され続けてきた小さなトリミングサロンがあります。
今回、ぼくたち「看板デザイン相談所」がサポートさせていただいたのは、そのお店の店舗外観のリニューアルと一部内装の見直しです。
このお店は、若くて素敵なご夫婦が2年前、お父さまから受け継いだそう。
代替わりを経て、ようやく少しずつ「自分たちらしいお店にしたい」という想いが芽生えてきたとのことでした。
01|デザインは、目的で変わる。
店舗の外観デザインには、大きく分けて2つの方向性があります。
ひとつは、目立たせて「いらっしゃい、いらっしゃい」とお客様を呼び込むためのもの。もうひとつは、それよりも佇まいや世界観を大切にするためのもの。どちらも「デザイン」であることには変わらないのだけど、そこから生まれる表現は、まったくの別物になります。今回のプロジェクトは、まさに後者のようなご依頼でした。
方向性もなく、ただ“おしゃれ”とか“好き”という理由だけでデザインをすると、仕上がったときになんだかちぐはぐな印象になってしまうんですよね。。
02|「らしさ」を整えるための外観デザイン。
実は、ぼくたちのもとへご相談に来られる方のうち、半分ほどが“らしさを大切にしたい”という思いを持っています。すでにお客様に愛されて、リピーターに支えられている。そのフェーズのお店は、無理に集客する必要がないんですよね。だからこそ、看板に求めるのは「目立つこと」よりも、そのお店らしい雰囲気や世界観を伝えることに。
雰囲気や世界観のあるデザインは、既存のお客様の満足度upだったり優秀なスタッフ採用にかなり効果的。それがデザインのちからです。
03|世界観をカタチにするむずかしさと、楽しさ。
でも、世界観を伝えるデザインって、実はとてもむずかしい。
目立たせる看板なら、サイズや文字の大きさ、照明の数など、技術的にコントロールできる要素がたくさんあります。でも世界観はちがいます。その人が大切にしている空気感や価値観は、お客さまの心の中にしか答えがないんだもの。
しかも多くの場合、ご本人もこんな感じと言語化できないもの。だからぼくたちは、丁寧にお話をうかがいながら、一緒に答えを見つけていくプロセスをとても大事にしています。その対話の中でふとこぼれた一言が、デザインのヒントになったり、「これこれ!こんな感じがいい」となってくれる。
■BEFORE
~もともとの店舗~
↓ ↓ ↓
■AFTER
~デザインした店舗~
シンプルでかわいくて、どこかメルヘン。そんな外観づくり。
お互いで話し合って目指したのは、めちゃシンプルで、かわいくて、ちょっとだけメルヘンっぽい。そんな外観デザイン。そこで「アイテムの数はしぼって、そのぶん素材を魅せる」ことを意識しました。
外観全体を包み込むように採用したのは、ラップサイディング※の外壁材。どこか懐かしく、でも古びていない。新しいのに温かい、そんな雰囲気をまとっています。
※ラップサイディングって?
細めの板を一枚ずつていねいに重ねていく外壁の仕上げ方。もともとは欧米の木造の家で、ながくにわたり受け継がれてきた工法です。実は日本でも昔から似たようなやり方があって、「鎧張り(よろいばり)」とか「下見板張り」「横羽目(よこはめ)」なんて呼ばれたりして、昔ながらの木造建築に使われてきています。
照明はアンティーク調の小さなランプ。主張しすぎず、それでいて優しい存在感を。
ブランドサイン。
「ちっちゃいけど、ちゃんと印象に残る」そんな佇まいです。
ガラス面にはカッティングシートで装飾を。
あえて中の様子がほんのり見えるように額縁のような演出を施しました。
さいごに。デザインって、想いをかたちにすること。
お店の看板づくりは、単なる「目印」ではありません。それは、お店の人の想いやストーリーを、そっと通りすがりの人に伝えるためのひとつのメッセージ。
これからも、この場所でたくさんのわんちゃんと飼い主さんが、笑顔で過ごせますように。
業務|外観プロデュース・ブランディング・デザイン・外装・看板(企画~施工)
業種|トリミングサロン
エリア|横浜市金沢区
参考予算|150万円