香りで、人が立ち止まる店をつくった話。|アロマショップ旗艦店外観デザイン事例|東京自由が丘

店先に、大きなオレンジが現れました。
……くん。
……くんくん。
通りを歩いている人が、思わず立ち止まって、ちびっ子が手を伸ばして、香りを嗅いでいく。今回の施工事例は、天然アロマの専門店。全国に12店舗を展開している人気のブランドです。
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もともとの店舗

最初に相談をいただいたとき、正直思った。
「え、もう十分きれいだし、おしゃれだし、素敵。うちが入る余地、あんのかな?」
でもオーナーさんは、まったく逆でした。「全然、気に入っていないんです」とのこと。ここから、このプロジェクトがはじまりました。今回もなかなかエキサイティングな案件です。
そもそも、“天然アロマ”って何だろ。
恥ずかしながら、ちゃんと知らなかった。アロマといえば、雑貨屋さんで見かけて、たまに買う。その程度のものだった。でもお話をきくと、単なる「いい香り」とはまったく違う、めちゃくちゃ奥深い世界だったんですよね。

天然アロマとは、植物の花や葉などから抽出された100%天然の香りの成分。
精油(エッセンシャルオイル)とも呼ばれて、リラックスやリフレッシュに使われる、アロマテラピーの“核”になるものです。さらに「すごいな」と思ったのは、香りが、ただの演出じゃないということ。
たとえば森の木々は、自分に害を及ぼす虫を寄せつけないために、香りの成分を出して身を守っているんだとか。それが人の心にはやさしく働きかけ、緊張をほどき、気分を整えてくれる。
そういった仕組みを利用すれば、虫よけや睡眠、消臭といった機能性の高いアロマが生まれる。ドラッグストアとか雑貨店に並ぶ、化学物質のものでごまかすものとは違って、
”自然の恵みで、より自然な暮らしをつくる”
こちらのブランドが本当に届けたいのは、そういうことなんだなと、だんだんわかってきました。
オーナーさんは、ブランドにも商品にも、強いこだわりを持っている方。だから外観も、「今っぽくしたい」とか「おしゃれにしたい」という表面的な話ではなかった。ちゃんと、想いが伝わる店にしたい。その気持ちが、すごく伝わってきました。
ぼくたちが考えるデザインは、見た目を整えることじゃなくて、その会社を考えることをカタチにすること。ここを一緒に、じっくり探っていきました。
そこで出た結論が、「お店のスタイル、変えません?」という提案。
派手にデザインを変えるのではなく、変えたのは、お店のスタイル。ひとつひとつの商品を「どんな香りで、いくらで」というモノ売りにするのではなく、売るのは——「体験」にしませんか、と。
立てたコンセプトは、
「希少な天然アロマを体験できる、選ぶのが楽しい、香りのミュージアムショップ」。
自然な暮らしを求める、感度の高い人に向けた場所です。
店名も、その方向に合わせて再設計。
そして店頭には、シンボリックなオレンジの立体造形をつくりました。このオレンジ、ただのオブジェじゃないんです。
近づいて嗅ぐと、実際にやさしいアロマの香りを体感できる仕掛け。店内から壁をぶち抜いて特殊なチューブでつないでいるので、つくるのも、工事も、正直かなり大変だったけど。。。



でもその分、効果ははんぱなくて、ちびっ子から大人まで、道行く人が吸い込まれるように香りを嗅ぎに来る。「まず体験」が、店の入口で起きるようになりました。
店内では、
天然アロマのメカニズムや、作り手の想い、つくられる過程、生産者の様子などを、コンセプトゾーンとしてパネルで展示しています。工場見学みたいなイメージ。
さらに、効果ごとに商品をゾーニングし直したり、スタッフの方が工夫して、アロマに関するBookを並べてくれたり。「買い物」よりも、「発見」が先にある空間へ。
結果として、ただの商品棚ではなく、ワクワクしながら香りを巡れる、
他には無い”ミュージアムショップ”ができあがりました。
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店先のオレンジに手を伸ばすちびっ子。家族連れやカップル。
もちろんみんながみんな、商品を買ってくれるわけじゃない。でも、香りを嗅いで、ワクワク、楽しそうにしている。その風景が、ほんとのこの店らしさなのかもしれません。
現場からは以上です♪



業務|デザインコンサルティング・リブランディング企画、店舗外観デザイン・ネーミング、看板デザイン・製作施工
業種|小売店(アロマショップ)
エリア|東京都目黒区
参考予算|200万円