創業1989年のメガネ屋さんのリブランディング&店舗外観デザインを担当しました。|千葉県
|歳かな。。
ぼく、今までずっと裸眼だったのにここ最近になって老眼鏡をかけるようになりまして。いろんな眼鏡店をのぞいてはイイ感じのデザインの眼鏡は無いかなあ、より見えやすい眼鏡は無いかなあと探しています。
眼鏡屋さん業界もファッションと同じく安くて気軽に利用できるファストファッション的なお店が人気。今回ご縁頂いたこちらの眼鏡屋さんは、昔ながらの、こだわりのあるお店のほうです。
|眼鏡屋さんはどこもそう変わらないだろう。
正直、そう思い込んでいたんだけど、お話を伺っているとどうやら安価のお店とは全くの別物でした。
バイトスタッフではなく専門知識を持つ職人のような熟練社員さんがしっかりと目の状態を診断して、ほんとに自分にピタリと合ったレンズをつくってくれる。骨格や肌の色から似あうフレーム選びもアドバイスしてくれる。店内には見たこともないようなこだわったデザインや、ハリウッドセレブ、有名アーティストにも愛されているという海外ブランドの眼鏡などがところ狭しとディスプレイされている。店内を見ているだけでも気分がアガりまくりです。
|そこで、今回僕たち看板デザイン相談所に与えられた課題とは。
そんなとても魅力的なお店(商品・サービス)でありながら、その良さを対外的にまったくアピールできていない。一度お店に足を運んでいただければわかるそれを、どうやってデザインによって解決していくかというものでした。
完成した店舗外観デザインがコチラ。
~BEFORE~
もともとの店舗外観デザイン
↓ ↓ ↓
~AFTER~
新たな店舗外観デザイン
■PROCESS
|「本当に売りたい商品はどんなものですか?」
デザインを考えるにあたり、ミーティングでお客さんに最初に伺った質問です。お店の方が「本当に売りたいものを売る」ことってほんとに大事。他社の価格帯とか売れ筋の相場、世のトレンドなんかはいったん置いておいて、自分達が「本当に売りたいもの」であれば情熱をもってお客様にちゃんとすすめることもできるし、何よりもやりがいがあって毎日のお仕事がよりhappyですよね。
そこで、お客さんの、やっぱりコレだよねというお好みの眼鏡を伺ったところ、デザイン性やそれぞれの眼鏡のブランドが持つ歴史や世界観に一つの共通点がありました。それは「ビンテージ」感。ファストファッションのような、いいものに似せたものではなく一つひとつの眼鏡が時間をかけて、きちんとこだわってモノづくりされているようなものたちでした。
デザインのプランニングは、そこにフォーカスします。
|デザインづくりは、まずはロゴデザインから。
ディスカッションしていたら「実は前につくったものがあるんですけど・・・」とお客さん。ちょっと見せてもらったらびっくり。イメージをした「ビンテージ」感そのもの。モチーフにされているのは、耳当て(ツル)の無い「鼻眼鏡」と呼ばれるもので19世紀から20世紀初頭に欧米で流行した眼鏡なんだとか。
|「それでいきましょう」
雰囲気があって、かなりイイ感じ。多少デザインを調整させてもらいましたがロゴが決定。こんな感じのプロセスを通して、軸となるデザインの方向性(コンセプト)が決まっていきました。
デザインづくりで大切なのは、お店を運営する方の想いやお店(商品・サービス)とデザインのイメージを完全に一致(最適化)させること。あとは地域性や、地域の競合他社、商品の価格帯等に合わせて、デザインのテイストを調整していくだけ。
これが僕たちのブランディングです。
DESIGN
■メインゾーン
看板全体を美しい木目調のダイノックシート(3M)でカバー。新しいロゴの看板は、カフェなどでよく使われている『発光チャンネル』と言われる種類。眼鏡ロゴの部分と店名部分が光ります。この看板はまじでかっこいい。(高いけど)
看板デザインで重要なポイントとしては「どんな言葉を載せるか」(表記するか)です。今回、メガネショップではなくお客さんのサービスのスタイルから考えて「セレクトショップ」という新たなショルダーネームを載せてます。
アイテム:あじのある特殊な「真鍮塗装」を施したオリジナル「発光チャンネルサイン」。(近くで見ないとわからないレベルだがかなりこだわってます)
■シンボルサイン
遠くからでも目立つ二本足の看板。余計な言葉は一切なくロゴ一つだけをデザイン。
・入口ロゴシート
お客様を出迎えるロゴのカッティングシート。ガラスの周りのサッシ部分は鉄さび風シートですべてカバー。
アイテム:インダストリアルなサッシの鉄さび風シート(3Mダイノックシート)
・広告サイン
看板デザインには主に2つの役割があります。一つは「ブランド」を伝える。もう一つが「広告」です。その看板の場所(視認性)によって、ブランドか広告かの役割分担をします。
こちらの看板は広告の看板として設定。
リニューアル前は眼鏡ブランドのイメージ広告でしたが、単にきれいな写真とロゴを見せられたところでなかなか行動してもらうのは難しい。そこでマーケティング手法を使いました。
商品である眼鏡や補聴器を直接訴求するのではなく、無料の『視力検査』や『似合う眼鏡選び』『聴覚診断』を訴求しています。(眼鏡屋に眼鏡が売ってることは誰でもわかりますから)。今すぐ眼鏡がほしいという人よりも、最近目が悪くなったんだよな、もっと自分に似合うフレームってないかしら、耳の聞こえが気になる、という顧客ニーズの方が何倍も大きいです。こういった仕掛けにより、お店のサービスや接客を気軽に「体験していただけるきっかけ」を戦略的につくります。
デザインとは本来センスやノリではなく、そういった理論をカタチにしたものなんですよね。
新たな「ブランドイメージづくり」や全体的に統一した「カラーリング」、看板に載せる「言葉(フレーズ)」の作成と適切な配置、見込み客に対して「来店の仕掛け」などトータルで演出。お店の外観が単にきれいになっただけではなく、今後、本来理想としている顧客層に対しての集客力が確実に上がります。
以上。『ブランディング|人を惹きつける店舗外観デザインができるまで。眼鏡店編』をお届けしました。
現場からは以上です♪
ではまた。
業務:ブランディング・店舗外観デザイン・施工
業種:小売店(眼鏡店)
エリア:千葉県君津市
参考予算:500万円
JIN×H-ART