01「なんで、こんなにかっこ悪い看板が多いんだろう。」
初めまして。看板デザイン相談所ディレクターの斉藤です。
「なんで、こんなにかっこ悪い看板が多いんだろう」うちが広告代理店としての仕事が主だった時、そんな疑問から『看板デザイン相談所』のプロジェクトは始まりました。人がつくったものにケチをつけるだけじゃ何も始まんないので、自分の目で、本当にイケてる看板がどういうものなんだろうと研究を始めたんです。空いた時間をみつけては、青山、六本木、渋谷、自由が丘などおしゃれな街に出向いて写真を撮ったり、触ってみたり、匂いを嗅いでみたり。かなりの不審者ですね(笑)。
日本だけでなく外国に旅に行ったときも観光より看板ばかりをチェック。そこでめちゃくちゃ驚いたのは看板ではなく、何十メーターもある巨大なデジタルサイネージやLEDビジョン。日本でもサイネージやLEDビジョンを使ってまだまだ面白いことができそうだなってワクワクしたり。
02「看板って、板や電飾の看板だけじゃないんだな。」
看板の中でも風合いや素材感のあるタイルだったり、無骨な鉄、天然の木などは僕の中で一番心躍るんです。素材そのもの魅力だけではなく、人の手によって塗装や仕上げによっても全く新しいものができる。まるで魔法みたい。
段々そういったモノをつくりだす人や工房にも興味がわいてきて、一軒一軒訪ねて回った時期もありました。(迷惑な客ですね)一本の鉄の棒を熱しハンマーでガンガン叩いたり曲げたりするロートアイン(鍛鉄)、ピザみたいに窯で一枚一枚焼き上げるタイル、砂を吹き付けて、木や鉄に文字を彫刻するサンドブラスト等など。「なにこれ!工芸じゃん」初めて見る技術と職人の人たちの情熱にかなり感動しました。今、そういった方々、作家さんが看板デザイン相談所のパートナーとして一緒に作品をつくり続けています。
とは言うものの、業務開始当初は「こんなデザインどうやってつくんだよっ!」「こんなのどう納めんだよ」と職人さん方から叱られることもしばしば。(泣)一つひとつの現場を通して技術分野のこともたくさん学ばせていただいて、やっと僕らのデザインの分野と職人さん方の技術の分野で融合できるようになりました。
■鉄のサイン
■木(サンドブラスト)のサイン
03「こうして始まった、看板デザイン相談所のプロジェクト。」
日々個性豊かな職人さんやデザイナーが案件に合わせてチームになって仕事をしています。今、看板って簡単にインクジェットプリンターがちゃちゃっと出力してくれるものが主流。
だけど、僕たちの考えるデザインはお店の個性を重視してちょっとエッジをきかせてます。人を出迎えるお店の外観にどこか人の体温を感じるようなあたたかみのある看板をつかったり、あえてその業種が普通はしないよねっていう、ちょっとずらしたデザインだったり。
看板を一つのモノとして考えるのではなく、スタイリストのような感覚で「外観全体や内装等、お店全体をトータルコーディネート」する新しい発想で取り組んでいます。
デザインによって翌日からお客さんが倍増したり、スタッフの方々の定着率が上がったり、色々な効果がわかりやすくでるのが面白いですね。/SAITO
・ショップっぽい学習塾
・カフェっぽいオフィス
JIN×HART
撮影:マッキー川名