目立たない店舗を“見せる”ちから。看板と外観デザインでつくる、6つの解決例
たとえば2階の店舗。通りから奥まった場所にある店舗。車がビュンビュン通り過ぎる立地や、静かすぎて埋もれてしまう外観。どんなに素敵なお店でも、「気づいてもらえない」ことには始まりません。でも――店舗の場所は変えられなくても、「見せ方」は変えられる。
ぼくたち看板デザイン相談所は、これまで数多くの“目立たない店舗”に向き合ってきました。この特集では、そんな実際の6つの事例から、「見えない」を「見える」に変える具体的なヒントをご紹介します。
01|韓国CAFE(2階の店舗を目立たせる)
■課題
・ビルの2階にあるため、人通りから視線が届きづらい。
■解決法
・看板単体ではなく「面」で視認性を高める設計。
・外壁全体をカバーしてデザインし、遠目からも目に止まるように。
・あえて色数を抑え、内装と連動した統一感ある世界観を演出。
・「悪目立ち」ではなく、「美しく存在感を出す」ことがポイント

02|歯科クリニック(奥まった立地と狭い前面道路)
■課題
・店舗が建物の奥にあり、前の道も狭く、看板が近すぎて目に入らない。
■解決法
・看板だけでなく外壁全体を活かした設計で、視覚的に引っ張る。
・青×白の高コントラストな配色で存在感をアップ。
・メイン看板は木目調で安心感と温かみをプラス。
・建物と“同化”しないデザインで「目に飛び込む存在」に。
03|和食店(観光地で2階の一番奥)
■課題
・観光地の人通りはあるが、店舗は2階の奥で物理的露出がほぼゼロ。
■解決法
・限られたスペースで「勝てる看板」をつくる。
・同業他店の看板を徹底調査し、差別化ポイントを明確に設計。
・観光地にあふれる“似たような店構え”の中で、「一番おいしそう」な看板に仕上げ、自然とお客さまの目を惹く構成に。
04|不動産会社(車のスピードが速く目に留まらない)
■課題
・立地は良いが、前の道路を通る車のスピードが速く、店舗が視認されにくい。
■解決法
・通行車両の視線に合わせたポールサイン(高看板)を設置。
・街並みに埋もれないよう、あえて個性的なデザインで“引っかかり”をつくる。
・車からでも「一瞬で印象に残る看板」に仕立てる。
05|調剤薬局(街並みに埋もれて目立たない)
■課題
・業種的なイメージに引っ張られ、無難でおとなしいデザインになりがち。
■解決法
・「調剤薬局らしさ」よりも「自分の店らしさ」を重視。
・デザインコード(業種の“あるある”)に頼らず、地域性・建物との調和を踏まえた個性の設計。
・しっかり目立つけど、上品。そんなバランスで「記憶に残る看板」を実現。
06|農園(奥まっていて目立たない)
■課題
農園の場所が目立たず、通行者からの視認が期待できない。
■解決法
・道路沿いに設置する「野立て看板」で距離を補う。
・サイズ感・色彩・内容、すべてにおいて「止まって見たくなるデザイン」を意識。
・「この看板を見て来ました」と言われる存在感のあるサインに。
🔚 おわりに|立地を言い訳にしない、伝える力をデザインで。
店舗の場所は、簡単には変えられません。でも「見せ方」なら、変えられる。看板や外観のデザインには、お店の“伝える力”を底上げする力があります。