地域に根ざした歯科医院を、次の世代へ――継承をかたちにする看板デザイン
今回ご相談いただいたのは、長年地域で親しまれてきたお母さまの歯科医院を、若いご夫婦が引き継いでリニューアルオープンされるタイミングでの看板デザインでした。
医院は住宅街の中にあって、向かいには大きなスーパー。地元のファミリー層が多く行き交う立地ということもあり、明るく、親しみってかわいい感じ、だけど小児歯科ではないので子どもっぽくなりすぐるのはちょっと。。というのがご夫婦のご希望でした。
■BEFORE
もともとの店舗

↓ ↓ ↓
■AFTER

かわいいけれど、あまり子どもっぽくはしたくない。その“さじ加減”をどうかたちにするかが今回のポイント。そんな要望に応えるため、デザイナーが素材や色味、書体のトーンをひとつひとつ丁寧に選んでいきました。
|木目は、かわいくも、大人っぽくもなる。
ご提案したのはウッド調のデザイン。木目はナチュラルなやさしさがあり、親しみを感じやすい素材です。ただし、色味によって印象が大きく変わります。
たとえば:
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濃いブラウン系にすると、シックで高級感が強くなり、大人っぽい印象になります。これは、インプラントや審美系に特化した歯科医院などでは好相性のデザイン。
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一方で、明るすぎるウッド調にすると、やわらかくなりすぎて背景に溶け込みやすく、視認性が落ちてしまうことも。
今回の医院では、地域のファミリー層がターゲット。そこで、ほんのりオレンジがかった中間色のウッドを選びました。建物にもなじみつつ、しっかりと目にとまるちょうどいい存在感に。

「歯医者らしさ」より、「その歯医者らしさ」
打ち合わせの中で、ご主人からこんな声がありました。
「これって、歯医者っぽくないですかね?」
確かに、いわゆる「歯医者っぽいデザイン」といえば、白と青の配色、直線的なロゴなどが思い浮かぶ。でも、今のブランディングでは、“歯医者らしさ”よりも“その歯科医院らしさ”をつくることの方がずっと大切。
大切なのは、誰のための場所なのか、そして、毎日働くご自身たちが本当に気に入れるデザインかどうか。そのうえで、デザイナーが、色・書体・余白の取り方などできちんと“看板としての役割”を成立させること。そうやって“らしさ”がきちんと伝わる看板は、自然と人の目にとまり、地域に溶け込み、信頼感を育てていきます。

引き継ぐからこそ、かたちにしたい想いがある
「看板」は、ただの目印ではありません。この場所でどんな人が働き、どんな人たちに来てほしいのかを伝える、最初のコミュニケーションの場です。
今回は、お母さまの医院を継承するというタイミングでのご相談でしたが、だからこそ大事にしたのは、“変えすぎないこと”と“今の自分たちらしさをちゃんと入れること”の両立でした。
きっと、訪れる人にも、そうしたやさしい空気が伝わっていくはず。このように、医院の歴史や想いをふまえた「継承の看板デザイン」。新しく始まる毎日を、さりげなく支えてくれる“らしい”看板が完成しました。

業務|ブランディング・看板デザイン・製作施工
業種|歯科クリニック
エリア|埼玉県さいたま市
参考予算|150万円
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