店舗外観デザインプランニングの5つのステップ
「何社かにデザインを頼んでみたけど、なんかしっくりこないんですよね…」
そんなご相談、本当にたくさんいただきます。
でもその原因って、センスや相性じゃなくて、実は“進め方の違いなんです。よくあるのは、デザイン会社がお客さんにいきなり
「どんなデザインにしたいですか?」と聞いてしまうケース。
でも考えてみてください。
お客さんは、それが分からないからプロに相談しているわけで、内心では「それをお前に聞いてるんだよ…」と思っていたりするんです。それでも頑張ってなんとなくのイメージを伝えると、デザイナーはそれを受け取って、すぐに制作に入ってしまう。
でも、それだと──
「見た目は悪くないんだけど、なんかしっくりこない…」となってしまうのも、当然なんですよね。
うちのやり方は、そこがちょっと違います。
答えを聞くんじゃなくて、“問い”から一緒に考える。
たくさんの質問を重ねながら、「本当はどうしたいのか」を一緒に掘り下げていく。そんなスタイルで、デザインをつくっていきます。
「どんな会社にしたいですか?」
「お客さんにどのように見られたいですか?」
そんなデザイン以前のお話を一緒にしながら、“本当にやりたいこと”を一緒に見つけていくのがうちのスタイル。実際に「初回ZOOM相談」を受けた方の8割が、そのままご依頼くださっています。今回は、ある老舗の車屋さんとのやりとりを例に、私たちの進め方をご紹介しますね。
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|Step 1:質問から始める
最初のステップは、「なんでつくろうと思ったんですか?」っていうシンプルな問いかけ。
でもこの質問、けっこう奥が深い。たとえば今回のお客さんは、「親から継いだお店を、自分の代らしくおしゃれに変えていきたい。でも今までの長い歴史やイメージも大事にしたい・・・」そんな気持ち(課題)を話してくださいました。そういう“想い”を出発点に、私たちは一緒に考えていきます。この「どうありたいか」を一緒に探るところから、すでにデザインづくりは始まっています。
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|Step 2:「聞き役」としてのデザイナー
「デザイン」と聞くと、すかしたデザイナーがオシャレな言葉を並べて話してくる──
そんなイメージを持っている方もいるかもしれません。でも、うちはどちらかというと、デザイナーというより“カウンセラー”に近い。お客さんの頭の中にあるモヤモヤを、質問を通して少しずつ言葉にしていく。「本当はこうしたかったんだ!」という気づきを、一緒に見つけていく。
そのために取り入れているのが「コーチング」のスタイル。コーチングはコンサルタントのように正解を押しつけるのではなく、お客さんの中にある答えを引き出す進め方。「こんなふうにしたい気もするけど、うまく言葉にできない」そんな“もやっとした気持ち”も、会話を重ねるうちに、「あっ、私が求めていたのってそれだ!!」というような、腑に落ちる瞬間がちゃんとやってきます。
ぼくたちは、そんなお客さんの“本当の想い”を引き出す「聞き役」として、一緒に形にしていく。そんなスタンスでデザインづくりをしていきます。
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|Step 3:どんな世界観(雰囲気)が合う?を一緒に探す
最初のZOOMでざっくり方向性を話し合って、2回目(「デザインミーティング」)でさらに深掘りしていきます。
たとえば今回は──
メインとなるカラーリングの場合
- クールな黒系?
- グレーで大人っぽく?
- 木目調でやさしい感じ?
そんな話をしながら、少しずつ「この感じいいですね」っていう方向を固めていきました。これは「見た目(デザイン)を決める作業」ではなく、「自分たちの会社がどうありたいか」「どう見られたいか」を探る時間です。
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|Step 4:会社の「あり方」から逆算する
看板にもいろいろな役割があります。大きく分けると主に3つです。
- ブランド(社名やロゴ)
- 広告(サービス名やキャッチコピー)
- インフォメーション(営業時間など)
たとえば高級車を扱うお店なら、ブランドだけでも十分なインパクトが出せます。むしろそれの方がいい。
だけど、一般的なお店であればやっぱりサービス内容などもう少し説明(看板上の表記)が必要です。
今回は、社名だけのシンプルな看板と、「整備・販売・板金・リース」などのサービスを加えた看板、両方の案をスケッチで用意して、見比べながら一緒に考えていきました。
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|Step 5:スケッチで未来をイメージする
方向性が見えてきたら、数パターンのスケッチをご用意します。
「こっちの方が伝わりやすいかも」
「この雰囲気だと、うちらしい感じが出せそう」
そんな会話をしながら、少しずつデザインの輪郭を固めていきます。このプロセスの中で、お客さまがふと口にするんです。
「あ、私、こういう会社(デザイン)をつくりたかったんだな」と。
こうしたやりとりを、私たちは一緒につくる「共創」と呼んでいます。完成するデザインは、ただの“見た目”ではなく、その人(会社)自身の想いや姿勢がしっかりと表れた「在り方のカタチ」になっているんです。
だからこそ、私たちは「デザイン制作」の仕事でありながら、それにいたるまでデザインをつくりません。
デザインそのものは、ほんとうの最後の最後。
それまでの対話で見えてきたものを、ただ“まとめて形にするだけ”の作業なんです。だからデザインをみて「しっくりこない」なんてことは起こりません。だって、そこにはすでにあなた自身のストーリーが詰まっているのですから。