チームで共有すること。
昭和初期の店舗デザインを研究し本物の“ レトロかわいい” を追求 「経営者の本当にやりたい事をカタチにする」をコンセプトに、独自性の高い魅力的な店舗づくりのためのブランディングから外観・サインの企画・デザイン・製作・施工までをトータルで手がける㈱JIN。
同社では2024 年、景勝地として知られる横須賀市・秋山海岸からほど近くで長らく空き家として放置されていた古民家を大にリニューアル。“ レトロかわいい” をテ-マにした無人販売店として再生した。店舗のある秋山エリアは観光地である一方、主要駅から遠く、古くから暮らす高齢者の多い地域でもある。当初はカフェ等にする案もあったが、地域の高齢者の買い物ニーズに応えるため24 時間営業の無人販売店にした。
デザインは目の前に広がる美しい海岸線に加え、こうした観光客と高齢者が共存するという地域性を考慮。昭和の駄菓子屋をイメージし、思わず写真を撮りたくなるような可愛らしさと、どこか懐かしいレトロ感を淡い青色と赤色のカラーで表現した。色使いについて代表取締役・クリエイティブディレクターの斉藤高広氏は「現代のデザイン理論では、こうした青と赤の組み合わせはNG とされている。しかし、昭和初期の店舗デザインを研究した結果、当時はこうした配色が多く用いられており、あえて今の常識から外したことで、より本物に近いレトロ感を出すことができた」と語る。
店舗名サインについてはコストをえるため、黄色く色褪せた様子をグラデーションのプリントで表現。また、ゆるく可愛らしい店舗のイメージに合わせるために“ フォント” も検討を重ね、数多くの既存フォントの中から柔らかすぎず固すぎないものを選定するなど、限られた予算のなかで最大限にコンセプトを実現するための工夫が細部にまで施されている。
2025 4月号|POEYE(総合報道)
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