地域の起業との取り組みレポート:Part1
client:株式会社不二越様
看板や外観デザインにとどまらず、地域のモノづくり企業や病院、学校といった公共施設まで。まるで一部署のように頼られる存在――看板デザイン相談所富山店。この街で積み重ねてきた仕事は、単なる看板づくりを超え、「人の想いを形にすること」。その歩みを、看板デザイン相談所本店代表・斉藤が聞き役となり、インタビュー形式でお届けします。

地元企業と築いた「10年・100案件」の信頼
本店 斉藤- 今日はよろしくお願いします! まずは、富山でのお仕事について伺いたいんですが、店舗だけではなく、地元企業さんとのつながりがとても強いですね。
富山店 村瀬- はい。そうですね。ありがたいことに、地域のモノづくり企業から、地元を代表するような大手企業、さらに病院やホテル、学校といった公共性のある施設まで、会社の一部署のような感じで、幅広く、深くお付き合いさせてもらっています。
本店 斉藤- 10年で100件とは、すごい数ですね。
富山店 村瀬- ありがたいことに、社内で紹介していただける仕組みが自然に生まれているみたいで。「こういう仕事できるところないかな?」となると、各部署で「一期に相談」と名前が出る。口コミのように広がっているんです。
本店 斉藤- それはもう、信頼の積み重ねですよね。1件1件の実績が次につながっていくと。
富山店 村瀬- そうだと嬉しいです。だからこそ、期待に応えるために毎回新しい取り組みであっても挑戦を続けてきました。そういうのがやりがいというか、好きなんでしょうね。(笑)
「冬のお花畑を光で」南仏の庭を富山で再現する取り組み

本店 斉藤- 何か印象に残った仕事を教えてもらえますか。
富山店 村瀬- ひとつ挙げるなら、こちらのイルミネーションのお仕事ですね。最初にお話をいただいたのは、会社の正面にあるお庭の演出についてでした。その会社では春から秋にかけて見事なお花畑が広がる庭を作っておられて、来る人を楽しませていたんですが、冬になるとどうしても寂しくなる。そこで依頼主さんは「冬は花が咲かないから、冬のお花畑をつくってほしい」とおっしゃったんです。
本店 斉藤- かなり「看板」から離れたご依頼ですね。
富山店 村瀬- はい、いわゆる“看板”以外もいろいろやらせてもらっています。これまで建築事務所さんや有名なデザイン事務所さんと一緒に仕事をすることもあって、そういう現場って求められる水準がかなり高いんですよね。
そういう場数を踏ませてもらえたことが、今の自信や技術につながっていると思います。「できない」じゃなくて、「じゃあどうしたらできるか?」をまず考える。外部に丸投げせず、できるだけ自分たちの手でやる――それを大事にしています。
本店 斉藤- お客様はどんな想いを持っていたんですか?
富山店 村瀬- 「社員さんへのねぎらい」や「来社されるお客様のお出迎え」という強い想いがありました。単なる装飾ではなく、心を和ませる演出。しかも“南仏の冬のお花”というテーマが決まっていました。
本店 斉藤- その依頼を受けたとき、どんな気持ちでしたか?
富山店 村瀬- 正直言うと、どこまでのクオリティーを求められているかがわからなかったので、最初は「既存の木に電球を巻きつけてはどうですか」程度の発想でした。でも、お客様はもっと壮大なものをご希望されていた。そんな期待に応えよう、と腹をくくりましたね。
南仏の文化を徹底調査、光で再現する
富山店 村瀬- そこでまず南仏の庭園文化を徹底的に調べたり、いろいろな施設に見学に行ったりもしました。例えば「トピアリー」と呼ばれる造形物の球状に刈り込まれた植栽を光の玉で表現するものとか、アーチにバラを絡ませる南仏の文化をイルミネーションで再現したり。つまり庭のデザインを光で置き換えるような作業です。
本店 斉藤- なるほど、光で庭を設計するイメージですね。
富山店 村瀬- はい。プレゼンは5回、6回と繰り返しました。「ただきれい」では足りない。「本当に南仏の冬の庭に見える」ことが必要だったんです。


技術的な苦労と「感動レベル」へのこだわり
本店 斉藤- デザインだけじゃなく、技術的にも高度そうですね。
富山店 村瀬- 光の配置は感覚で巻くだけではなく、ピッチを計算して、最後に余らないよう、電源の位置まで設計します。大木に巻くときは直接電球を触れさせず、ワイヤーを螺旋状に這わせて安全かつ美しく仕上げます。
本店 斉藤- 巻き方ひとつにも、そんな工夫があるんですね。
富山店 村瀬- そうなんです。場所によっては木の周りに専用のワイヤーや支柱を組んで“構造体”を一から設計して作ります。そうしないと「感動するレベル」にはならない。手間はかかりますが、完成したときの見栄えは桁違いなんです。


「依頼主の想い」を光で実現する
富山店 村瀬- 社員さんにとっては日々の癒しに、来訪者にとっては温かな歓迎に。だからこそ全力で取り組みました。完成後、社員さんが笑顔で庭を眺めているのを見て「あぁ、やってよかった」と心から思いましたね。
本店 斉藤- イルミネーションが“冬のお花畑”になる。素敵なプロジェクトですね。
富山店 村瀬- ありがとうございます。このプロジェクトは今後も続いていきます。


子どもたちのために 保育園の巨大カエル看板

本店 斉藤- その会社で他にはどんなお仕事を?
富山店 村瀬- もう一つ印象的だったのが、系列保育園の看板です。もともと他社の設計士さんが庭のレイアウトや全体をデザインしていたんですが、看板に関してはなかなかしっくりくる案にたどり着かず悩まれていたそうです。
そこで「誰か他にできる人いないか!?」とお声がかかり、私たちが参画しました。そこで提案したのが、巨大なカエルやカタツムリの看板達、「これだ!」と、とても喜んでいただけました。
本店 斉藤- まさに課題解決ですね。
富山店 村瀬- はい。保育園の主役は子どもたちですから、一番は「子どもたちが楽しめる、親しみを持てる看板」であること。元々の案はアート寄りで大人っぽい案だったようですが、私たちは“子ども目線”を第一に考えました。自分が作りたいデザインではなく、誰が使うか、誰を楽しませるかを徹底的に考えた結果です。




本店 斉藤- 子どもたちの笑顔に寄り添う看板――その発想って、やっぱり富山店らしいなと感じました。今日はありがとうございました。
次回パート2では、また別のクライアント案件を取り上げて伺っていきます。