
今回ご紹介するのは、富山県魚津市の真成寺町にある銀座商店街。
真成寺をはじめ、常泉寺、長教寺など、かつては寺院が立ち並び、参詣の人々や買い物客で賑わった歴史ある通りです。その一角にたたずむのが、水だんご専門店「藤吉」さん。どこか懐かしく、でも新しい。「和」と「遊び心」がちょうどよく溶け合ったとっても素敵なお店です。
|「銀座商店街」の記憶を、もう一度
ご依頼は、店舗リニューアルにともなう看板の刷新。
ただの新設ではありません。かつてこの商店街の入口に掲げられていた「銀座商店街」の文字看板を、もう一度、まちの景色に戻せないかというご相談でした。
当時の看板はすでに取り外されていましたが、地域の記憶にはしっかりと残っていたのです。
私たちはこの看板をバックライト式のチャンネルサインとして再構築。レトロな印象はそのままに、現代の空気をまとった新しいかたちに仕上げました。
【Before】

【After】

設置後、地域の方々からは、「懐かしいね」「帰ってきた感じがして嬉しい」と声をかけていただいたそうです。
まちに根ざした看板だからこそ、伝わるものがあるのだと思います。
|“表札”としての木製看板
さらにもうひとつ。
「藤吉のロゴマークが入った、あたたかみのある木の看板も設置したい」とのご希望もありました。
使ったのは、富山の自然を感じさせる天然ヒノキの合板。これを2枚重ね、輪郭はNCルーターという精密加工機を使ってカット。
NCルーターとは、パソコンで設計したデータ通りに木材を削り出す、いわば私たち職人の“右腕”のような存在です。
表面にはレーザー彫刻+墨入れを施し、陰影と風格をプラス。水だんごのやさしい世界観としっかりと調和した、ぬくもりある“店の顔”となりました。

こちらがNCルーターです

こちらはレーザー彫刻の様子

|「遠くから来た人」への目印も
観光など遠方から来店される方のために、視認性の高い電飾看板も設置。
こちらは前店舗時代から使っていたものを活かしつつ、新しい店舗外観に合うようにデザインを微調整しました。

さらに、駐車場案内の「Pマーク」にも遊び心を。
実はこれ、ただの楕円ではなく、商品の“水だんご”のかたちをモチーフにしています。細部にまで店の世界観を込めることで、「体験としての店舗」が完成していきます。

|景観を彩る看板デザインとして、ダブル受賞
今回のリニューアル看板は、富山県内の良好な景観形成に寄与した広告物に贈られる
「第17回 景観広告とやま賞《景観広告賞》」および、地域に根ざした優れたデザイン活動を表彰する「公益社団法人 富山県デザイン協会賞」の2つの賞をダブル受賞いたしました。
看板全体の企画からデザイン、製作、施工までを一貫して担当させていただいた私たちとしても、藤吉様とともに、2024年11月の授賞式へ出席させていただいたことは大きな喜びとなりました。

リニューアル後の様子がこちら

写真:魚津銀座通り商店街 faceBook
|季節限定「モンブランパフェ」も絶品でした
ちなみに……
ご訪問の合間にいただいた秋限定「モンブランパフェ」。見た目の美しさはもちろん、和の素材を活かした上品な味わいに、思わずうなりました。最後の一口まで、ちゃんと「藤吉の世界観」が詰まっていて、まさに“食べるブランディング”でした。

『店舗情報』
水だんご専門店 藤吉
富山県魚津市真成寺町3-7
TEL:0765-55-2219
営業情報はInstagram・Facebookをご確認ください。
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