
いま主流なのは、気軽に立ち寄れる低価格のファストファッション的なお店。
けれど今回ご縁をいただいたのは、そうしたお店とは正反対。創業は1989年、昔ながらの“こだわり型”の眼鏡屋さんでした。
「眼鏡屋なんて、どこもそう変わらないだろう」
ところが実際に訪ねて話を伺ってみると、その考えは一瞬で覆されました。
「こちらをかけてみてください。」
そう声をかけてくれるのは、アルバイトではなく長年経験を積んだスタッフさん。まるで職人のように丁寧に視力を測り、僕の骨格や肌の色に合わせたフレームを提案してくれます。店内には見たこともないデザインや、ハリウッドセレブやアーティストが愛用するブランドフレームがずらり。その空間にいるだけで気分がアガります。
課題は「どう魅力を伝えるか」
これだけ素晴らしいお店なのに、その良さが今まで外からまったく伝わっていない。単なる“昔ながらのお店”。
そこで、今回私たち看板デザイン相談所に託されたのは、“お店の魅力を外観でどう表現し、人を引き寄せるか”という課題です。
「本当に売りたいものは何ですか?」
最初の打ち合わせ。
お店の方にこう問いかけました。
「本当に売りたい商品は何ですか?」
一瞬の沈黙のあと、店主は少し笑みを浮かべて答えました。
「やっぱり、ビンテージですね」
そこには一貫した想いがありました。時間をかけて丁寧につくられたフレーム、ブランドが培ってきた歴史や世界観。“本物”だけが持つ奥深さに魅力を感じ、それを届けたいという情熱でした。

打ち合わせの途中では、店主がふと口にした「実は昔に作ったロゴがあるんですが…」差し出されたデータを見た瞬間、思わず声を上げました。「これだ!」
そこにあったのは、19世紀から20世紀初頭に流行した“鼻眼鏡”をモチーフにしたロゴ。
ビンテージ感が漂い、まさに私たちが探していた方向性そのもの。
そんなやり取りを通して、全体のコンセプトが一気に固まっていきました。
【BEFORE】
もともとの店舗デザイン

↓ ↓ ↓
【AFTER】
新たな店舗外観デザイン

外観を形づくる要素たち
メイン看板
木目調シート(ダイノックシート)で全体をカバー。新しいロゴは「チャンネルサイン」で発光します。


シンボルサイン
通りの向こうからも見える二本足の独立看板。余計な言葉は入れず、ロゴだけを配置。
老舗ならではのどっしりとした存在感。

入口まわり
ドアにはヴィンテージ感のある演出。
サッシ部分は鉄さび風のシートで仕上げ、インダストリアルな雰囲気を演出しました。
「入る前からワクワクしますね」と常連のお客様が笑顔で語ってくれました。

広告サイン
“商品を売る”のではなく“体験を伝える”。
「無料視力検査」「似合う眼鏡診断」「聴覚チェック」誰もが気軽に足を運べるような仕掛けを加えました。こういった集客面を企画するのも店舗外観デザインではとっても大切。

デザインは「理論を形にすること」
センスやノリだけで作るものではありません。ブランドの世界観、地域性、競合の状況、商品の価格帯―それらを組み合わせ、最適化することで「お店らしさ」が初めて形になります。

今回の外観は、ただきれいになっただけではない。お店が理想とする顧客層を引き寄せる仕掛けを持った“ブランドの顔”になりました。
現場からは以上です♪
業務:店舗外観コンサルティング・デザイン・施工
業種:小売店