
富山の人気施設で進んだ、“迷わないため”のサイン計画。
今回の現場は、富山県魚津市にある「ミラージュランド」。
日本海側最大級の大観覧車をシンボルに、富山湾と立山連峰を一望できる、富山県唯一の遊園地です。隣接する水族館と合わせて、週末や大型連休には多くの家族連れで賑わうこの場所で、ある課題が浮き彫りになっていました。
それは、「駐車場で迷う人が多い」という問題。
実は現地には、すでにたくさんの看板が設置されていました。それでも、人は迷ってしまう。
今回、看板デザイン相談所 富山BASEでは、ミラージュランド・水族館の駐車場サイン計画を、プランニングからデザイン、制作、施工まで一貫して担当させていただきました。
テーマは、“看板を増やす”ことではなく、“迷わなくする”こと。この記事では、その裏側を少しご紹介します。
「看板はある」のに、なぜ機能していなかったのか。
これまでのミラージュランドでは、GWや週末などの繁忙期になると、多くの誘導員や警備スタッフが立ち、お客様を駐車場へ案内していました。しかし少し前に、警備アルバイトの廃止が決定。
今後は、“無人でもスムーズに誘導できる環境”を整える必要がありました。
現地を確認してまず感じたのは、「看板は多いのに、誘導としては機能していない」ということでした。
これは実は、街中でもよく起きている問題です。情報を増やせば分かりやすくなると思いがちですが、実際には逆で、情報が多すぎると人は判断できなくなります。
特に駐車場のように、車を運転しながら瞬間的に判断しなければいけない場所では、“読ませる”のではなく、“一瞬で理解できる”ことが重要になります。
つまり必要なのは、「説明」ではなく「直感」。今、自分がどこにいて。次にどこへ向かえばいいのか。それが、瞬間的に伝わる必要がありました。
【BEFORE】



サイン計画とは、「情報を整理するデザイン」
今回の計画で重要だったのは、単に新しい看板を作ることではありませんでした。本当に必要だったのは、“人の動き”を設計すること。この考え方は「サイン計画」と呼ばれるものです。
駅や空港、商業施設、病院など、多くの人が利用する場所では、建物そのもの以上に、“迷わないこと”が重要になります。例えば東京オリンピックでも、日本の「サイン計画」や「ピクトグラム」が世界的に注目されました。
言葉が分からなくても、直感で伝わる。子どもでも、高齢者でも、海外の人でも理解できる。それが、本来のサインデザインの役割です。
看板というと、“目立つデザイン”に意識が向きがちですが、施設において実際には「迷わせない」「考えさせない」ことの方が、ずっと大切だったりします。今回のプロジェクトでも、私たちはまず「人がどこで迷うのか」を整理するところからスタートしました。
“現在位置”が分からないと、人は不安になる。
現地調査を進める中で、特に重要だと感じたのが「現在位置」の考え方でした。
駐車場内で迷っている人の多くは、“目的地が分からない”のではなく、“自分が今どこにいるのか分からない”状態になっています。これは大型ショッピングモールでも、テーマパークでも同じです。
現在位置が分からないと、人は距離感を失います。
「あっちで合ってる?」
「この先に停められる?」
「戻る時、分かるかな…」
そんな小さな不安が積み重なると、駐車場全体が“分かりにくい場所”になってしまいます。せっかくの休日。ご家族やカップル、友達同士で過ごす楽しい時間の中で、「どこに停めればいいんだろう」と迷わせてしまうのは、施設体験そのもののストレスにも繋がってしまいます。
だから今回の計画では、デザインのちからで“現在位置を直感的に理解できること”を最優先にしました。
どこにいるのか。
どのエリアなのか。
どこへ向かえばいいのか。
これを、一瞬で判断できるよう整理しています。

「野暮ったさ」まで含めてデザインする。
今回のデザインで、あえて意識したことがあります。それは、“洗練させすぎない”こと。ミラージュランドや水族館には、どこか懐かしく、親しみのある空気感があります。
子どもも、大人も。観光客も、地元の人も。肩肘張らずに楽しめる場所。
だから今回のサインも、あえて少し“ちょいダサい”くらいの、優しく親しみやすいデザインに寄せています。デザイン業界では、つい「かっこよさ」や「洗練」を追求したくなります。
でも本当に大切なのは、“その場所らしさ”に合っているかどうか。今回のサインは、地域の遊園地らしい柔らかさや、水族館らしい親しみを大切にしながら設計しています。


情報を整理するために、形にもルールを作った。
今回のサイン計画では、「何を伝える看板なのか」が一瞬で分かるよう、形状にもルールを設けています。例えば、地図案内は直角のデザイン。一方、番号サインは角丸の形状に。人は無意識に、形でも情報を認識しています。つまり、“読まなくても分かる”状態を作ることが大切。
さらに、誘導サインは緑。帰り道のサインは水色。色によって役割を整理することで、コストを抑えながらも、直感的に理解できるよう工夫しています。サイン計画は、一般的なグラフィックデザインやアートとは違う、独特の考え方があります。
「かっこいい」だけでは成立しない。
どこで認識するのか。何秒で判断するのか。車速の中で見えるのか。そういった視点を、これまでの現場経験の中で積み上げてきました。

「新しく作る」ではなく、「活かす」という考え方。
今回の計画では、コスト面も重要なテーマでした。
そのため、既存の柱を活用したり、既存看板の上から設置したりと、“使えるものを活かす”方法を積極的に採用しています。看板デザインというと、ゼロから派手に作り替えるイメージを持たれることもあります。
でも実際には、限られた予算の中で、どれだけ効果を最大化できるかが重要です。今回も、「お金をかけたから分かりやすくなる」のではなく、“情報整理の考え方”によって、駐車場全体を改善しています。
看板は、「目立つこと」より「迷わせないこと」。
看板の役割は、ただ目立つことではありません。本当に大切なのは、“人を迷わせないこと”。特に今回のようなサイン計画では、デザイン性だけでなく、導線や心理、距離感、認識速度まで含めて考える必要があります。
どこで判断するのか。
どこで不安になるのか。
どこで迷うのか。
それを整理しながら、空間全体をデザインしていく。それが、私たちが考える「看板デザイン」です。
今回のミラージュランド・水族館のサイン計画も、“ただ看板を作る”のではなく、“人の動きを整えるプロジェクト”として取り組ませていただきました。
もし今、
「看板はあるのに分かりにくい」
「案内しているつもりなのに、人が迷う」
「人員でカバーしている状態になっている」
そんな課題があるなら。それは、“看板を増やす”より、“情報を整理する”ことで解決できるかもしれません。



富山で、看板やサイン計画のご相談なら。
看板デザイン相談所 富山BASE【企業サポート】では、単なる看板制作ではなく、“どうすれば人に伝わるか”を考えるところからサポートしています。
店舗サインはもちろん、施設案内や導線設計、ブランディングを含めたサイン計画まで、一貫してご相談いただけます。
「分かりやすくしたい」
「迷わない導線を作りたい」
「今ある看板が機能していない気がする」
そんなお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。