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【店舗外観デザインの考え方1】店舗の外観を「目立たせる」って、派手にすることじゃない。

斉藤高広 / ディレクター

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斉藤高広 / ディレクター

【店舗外観デザインの考え方1】店舗の外観を「目立たせる」って、派手にすることじゃない。

お店が目立たない。
長く営業しているのに、「こんなお店あったんだ」と言われてしまう。来店しようとしていたのに、気づかず素通りされてしまう。

こういう話、実はけっこう多いです。

多くの場合、それは立地の問題だと思われがちなんですが、実はそうでもなかったりします。ここでよくある勘違いがあって、「目立たせる=派手にする」という考え方。文字を大きくする、照明を明るくする。たしかにそれで目立つこともあります。

でも、それが本質かというと、ちょっと違います。

仮に派手にして目立ったとしても、「なんかこの店は入りたくないな」(好きじゃない)と思われてしまったら意味がないですよね。デザイン(ブランディング)の目的って、なんかこのお店、好き!と思ってもらうことだったりします。その結果として、多くの選択肢の中から選ばれるようになる。

じゃあ、人ってどうやってお店に気づくのかというと、実は「情報」ではなくて、違和感だったりします。街並みの中で、ほんの少しだけズレている。その違和感が、視線を止めるきっかけになります。

 

看板デザイン相談所がつくっているのは、派手なお店ではなく、品よく目立つお店です。

ただ、ここで大切にしているのは、たんに見た目を整えることではありません。そのお店の商品やサービスが持っている魅力、つまりその店らしさをちゃんと見つけること。そこが見えてくると、やることは意外とシンプルです。

看板を単体としてとらえるのではなく、壁面をトータルで演出する。そして、色数を減らす。コントラストを整理する。余白をしっかりつくる。

一言でいうと、「引き算で目立たせる」という考え方です。何かを足して目立たせるというより、そのお店の個性がちゃんと見えるように、余計なものを削っていくイメージです。

この考え方、実は身近なところにもあって。

ぼくもつい手に取ってしまう、ミネラルウォーターの「い・ろ・は・す」。ミネラルウォーターって、「水=青」みたいなデザインが多いですよね。売り場を見ても、青いラベルが並ぶ中で、い・ろ・は・すだけがやわらかい緑。ぽつんと違う。この違和感が、一瞬で目に入る理由だったりします。

ただ、これも単なる色の話ではありません。

他の多くの水が「水そのもの(機能)」を売っているのに対して、い・ろ・は・すは「自然ややさしさ(情緒)」を売っている。つまり、色は戦略の結果であって、目的ではないんですよね。「水」ではなく「自然」を中心に置いたから、結果として緑になっている。

さらに言うと、その考え方は色だけにとどまりません。ペットボトルも、100%再生素材で、軽くて薄くて、絞って捨てられる。そのあたりの体験まで含めて、ブランドになっています。

ただの「水」ではなくて、自然ややさしさを感じる水という、新しいカテゴリをつくっている感じです。だからこそ、ただ目立つだけではなく、長く選ばれ続けるブランドになっているんだと思います。

(ぼくはそのブランドづくりに1ミリも携わっていませんが)

ぼくたちが、依頼を受けてもすぐにデザインをつくらないのも、ここが理由です。一般的なデザイン会社のように、ヒアリングしてすぐ形にするのではなく、Zoom2回、しっかり話をします。なぜかというと、そのお店にとっての(コンセプト)を見つけるためです。い・ろ・は・すでいう「自然ややさしさ」みたいなものですね。

その軸さえ見つかれば、デザインは自然と決まっていきます。結果として、ちゃんと魅力が伝わる、品よく目立つお店になっていきます。

 

 

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