【店舗外観デザインの考え方7】事業継承をきっかけに、会社のイメージを今の時代に合ったものに変えたい。
「先代から引き継いだこの会社を、自分の代らしくしていきたい」
「これからの時代に合う形に整えていきたい」
そんなご相談も増えています。
看板デザイン相談所には、50年、100年と続く老舗のお店や企業からのご相談が本当に多いです。事業継承のタイミングって、単に“引き継ぐ”だけではなくて、これからの方向性を見直す機会でもあったりします。
ただ一方で、「どこまで変えていいのか分からない」「今までのイメージを壊してしまわないか不安」そんな悩みを抱えている方も少なくありません。
ここで大切なのは、ただ新しくすることではありません。
まずは、この会社がどのように生まれてきたのかをたどっていくことで、自然と方向性が見えてくることが多いです。なぜその事業を始めたのか。どんな想いで続けてきたのか。どんな背景から、この会社が形づくられてきたのか。創業者の想いは、直接聞けるとは限りません。それでも、残っているものや背景から、その“原点”は見えてくるものだったりします。
そこに、今の社長がこれからどうしていきたいのか、どんな会社にしていきたいのか。その“これから”も、一緒に整理していきます。そうやって、過去と未来をつないでいくと、「こういう会社にしていきたい」が少しずつ見えてきます。
デザインって、結局そういう考えや想いが形になったものだったりします。ロゴや外観も、ただ見た目を整えるものというより、その会社の“在り方”が出る場所です。外観って、単なる入り口というより、その会社そのものの印象が出る場所なんですよね。
そして最近だと、もうひとつ無視できないのが「採用」の視点です。
求職者の方は、ホームページやSNSだけでなく、実際の外観や会社の雰囲気も含めて、「この会社どうなんだろう?」と見ています。そのときに、長く続いてきた会社としての信頼や、これからの時代に合った魅力が感じられるかどうか。この印象って、外観でけっこう変わります。
本来、長く続いているという事実そのものが、簡単には真似できない大きな価値です。ただ、それが伝わっていないと、ただ「古い会社」に見えてしまうこともある。逆に、その積み重ねがきちんと伝わると、「魅力のあるブランド」として認識されていきます。
外観は、お客様に向けたものでもありながら、これから一緒に働く人にとっても、その会社の価値を判断するひとつの材料になります。会社のイメージを今の時代に合う形に整えていくことで、外から見た魅力も上がっていって、結果的に、その魅力に惹かれる人材が集まりやすくなっていきます。
こういうテーマの場合、外観だけでなく、ロゴやスローガンなども含めて見直すことが多いです。ここ、意外と大事なポイントだったりします。
というのも、自分たちの商品やサービスに価値があることは分かっていても、それを“ひとことで伝える言葉”になっていないケースがすごく多いんですよね。どんな特徴があるのか。何が他と違うのか。どんな価値を届けているのか。そういったものを、改めて整理して、フレーズとして言葉にしていく。いわゆるキャッチコピーやショルダーネームもそうですが、それ以上に、「この会社はどういう存在なのか」という在り方を言語化していくイメージです。この言葉が定まると、不思議とデザインの方向性もブレなくなります。
逆にここが曖昧なままだと、どんなに見た目を整えても、どこか芯のない印象になってしまうことが多いです。見た目と中身をつなぐ“翻訳”のような役割が、この言葉にはあるんだと思います。長く続いている会社ほど、その価値や強みが当たり前になってしまって、自分たちでは気づけなくなっていることもあります。
でも、その積み重ねこそが本来の魅力です。それをどう見せるかで、「古い会社」に見えるのか、「長く続いているブランド」に見えるのかは大きく変わります。事業継承って、過去を守ることでもあり、未来をつくることでもあります。その中で外観を見直すことは、これからの会社のあり方を形にしていく、ひとつのきっかけになると思います。
「どう変えていけばいいか分からない」そんな状態からでも大丈夫です。そこから一緒に考えていきましょう。