【店舗外観デザインの考え方3】提案されたデザインに、どこか違和感がある。
「デザインは出てきたけど、なんか違う気がする」
「うまく言えないけど、しっくりこない」
そんな相談をよくいただきます。
実際に、「何社かにデザインを頼んでみたけど、しっくりこない」というご相談はめちゃくちゃ多いです。中には、1年以上、何社もの看板屋さんから提案を受けても、「これだ」と思えるデザインに出会えないという方もいらっしゃいます。何度か修正を重ねても、どこをどう直せばいいのか分からない・・・結果的に、なんとなく妥協した形で進んでしまう。
そして多くの方が、「自分の伝え方が悪いのかもしれない」と感じてしまいます。でも、それはまったく問題ありません。むしろ、それが普通です。デザインの方向性を言葉にするのは、本来とてもむずかしいことだからです。
また実際には、すでに提案を受けているデザインを見せていただくことも多いのですが、「他社の案を見せるのは失礼なんじゃないか」「見せることで、そのデザインに引っ張られてしまうんじゃないか」と遠慮される方も少なくありません。
ただ、そういった心配はまったく必要ありません。むしろ、そういった案を見せていただくことで、「どこに違和感があるのか」「なぜそれがしっくりこないのか」、その方の“感覚”(きらいなこと)を知る大きなヒントになります。
いわば、デザインにおける“セカンドオピニオン”のような位置づけです。別の視点から整理してみることで、自分では言葉にできなかった違和感の正体が、少しずつ見えてくることも多いです。
でも、この“違和感”は決して気のせいではありません。多くの場合、その原因はデザインの技術やセンス、相性ではなく、デザインの“進め方”にあります。
よくあるのは、「どんなデザインにしたいですか?」と聞かれて、なんとなくのイメージを伝え、そのまま制作に入ってしまうケース。でも本来は、そこが一番大事な部分だったりします。
どんな特徴や魅力があるのか。どんなお店として見られたいのか。そして、お客様にどんな価値や体験を届けたいのか。
そういった本質的な部分が曖昧なまま進んでしまうと、見た目としては整っていても、どこかしっくりこないデザインになってしまいます。それは、そこにお客様自身の“体温”が感じられないからです。
だから僕たちは、いきなりデザインをつくることは一切していません。デザインに入る前にZoomミーティングを2回。そこでは答えを用意するのではなく、質問を重ねながら一緒に考えていくスタイルをとっています。たくさんの対話を重ねながら、そのお店の軸や方向性を少しずつ整理していきます。
「どんな会社にしたいですか?」
「お客さんにどう見られたいですか?」
そんなデザイン以前の部分を一緒に見つめていくことで、はじめて“しっくりくるデザインのもと”が見えてきます。
実際にこの最初のセッションは、多くの方にとても満足いただいています。「頭の中が整理された」「自分たちがやりたいことがはじめて言葉になった」「方向性がはっきりして安心した」そんな声をいただくことがほとんどで、ほぼ100%の方が満足されています。(たまにコケるけど)
この時間は、単にデザインの打ち合わせというよりも、“自分たちのお店を見つめ直す時間”に近いかもしれません。なんとなく思っていたこと、言葉にできなかった想いを、ひとつずつ拾い上げていく。「こういうお店にしたかったんだ」そんなふうに、腑に落ちる瞬間が必ずやってきます。
このプロセスを、僕たちは「共創」と呼んでいます。
デザインは、最後の最後。それまでの対話で見えてきたものを、ただ形にしていくだけの作業です。だからこそ、「なんか違う」というズレは起きません。デザインをつくる前のこの時間こそが、実は一番価値があります。